瓶熟成

瓶熟成

ビンテージジーンズ、Tシャツ、アロハなどなど、アパレルでは古着に価値が見出され、日本酒でも古酒やウイスキーなども熟成年数が多いほど非常に高値で取引されているそうです。
ワインもしかり。
海底の沈没船に積まれたワインが発見された、などのニュースも時折耳にします。

「長く保管すればワインって美味しくなるんだよね?」
「古いワインほど高くて美味しいの?」
「丹波ワインで創業当時のものはないの?」
よくお客様から質問されます。

長期熟成させた方が美味しい…。
確かにそういう一面もあるワインですが、全てのワインがそういうものではありません。
ヌーボーなどに代表されるフレッシュでフルーティーなワインは、切れのある酸味や出来たての果実感を楽しむために醸造をしていますので、熟成には向いていません。

発酵終了直後のワインはアルコール分、果実味、酸味、香りなどが発生したり変化した直後なのでそれぞれにまとまりがなくワイン中でバラバラな状態になっています。
それを1つにまとめていくのが熟成です。
ワインではタンク、樽、ボトルなどで熟成を行いますが、それぞれ役割が異なります。

樽での熟成は木からの香気成分がワインに付き、木の隙間から徐々にワインが蒸発して酸素との接触によりゆっくりと酸化(まとまり)がすすみます。バニラ香や樽香と呼ばれているのが樽熟成したワインの特徴の1つですが、ぶどう品種や品質によって相性のよし悪しがあります。

一方タンク熟成は香りの特徴はつかずにワイン中の成分を時間の経過によってまとめ上げて、落ち着いた状態にしていく役割を果たします。

瓶熟成

瓶熟成は更に空気との接触がないので、熟成のスピードは更に遅くなりますが、容量の小さなボトルほど周りの環境に左右されやすく、保管条件によってワインの味わいが大きく異る状態になります。
が、既に樽やタンクで熟成させたワインでも瓶詰めした直後は中の成分がバラバラになりますので、それを落ち着かせる意味も瓶熟成にはあります。なので、丹波ワインでは瓶詰めしてからヌーボーなどを除いて半年から2年ほど瓶熟成を行います。

最近では丹波鳥居野カベルネ・ソーヴィニヨン&メルローの2016Vintageをボトリングしました。これから定温セラーで瓶熟成を経て、タンニンがまろやかにバランスよくなったタイミングでリリース予定です。
お楽しみに!

文:黒井

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