丹波ワインのふるさとは、のどかで緑豊かな里山が広がる京丹波町。そこは京料理を支える、滋味深い京野菜のふるさとでもあります。丹波の美しい山と水に育まれた季節の京野菜を、ワインと楽しみながら、その魅力をお伝えしましょう。

●舞妓さんのかんざしをイメージした
金時にんじん「京かんざし」

京かんざし
「京かんざし」は金時にんじんを早取りしたもの。根も葉もやわらかく、丸ごと美味しくいただける京野菜です。舞妓さんのかんざしをイメージしたネーミングもとても愛らしいですね。9月から2月までが旬で、葉は香りよく淡い緑色。あでやかな紅色の根とのコントラストも美しく、冬の食卓を華やかに彩ります。赤く小さな根を噛むと、フルーツのような甘みが口いっぱいに広がります。葉はふさふさと柔らかく、西洋ハーブのフェンネルのような爽やかな香り。色がよく似て優しい泡立ちの、てぐみのロゼともピッタリです。

●栄養豊かな京かんざし 根も茎も葉も楽しんで
繊維が緻密で食感がよく、色彩と香りが豊かな京かんざし。体にも優しく、リコピンやルテインなどの抗酸化成分も豊富に含まれています。特に葉の部分はほうれん草の約2倍の抗酸化成分を含有。栄養豊かな京かんざしは、根も茎も葉もあますことなく活用したいですね。
サラダ、炒め物、揚げ物、煮物、洋食にもよく合い、幅広く楽しめます。

今回は、ホームパーティのアペリティフや年末年始の食卓に、彩り豊かな3品を作って楽しみました。さらに、お料理のアクセントには、京都旅行で出合った千鳥酢、丹波の実山椒の佃煮、黒七味などを使ってみました。

伴良美の季節の京野菜を楽しもう
伴良美の季節の京野菜を楽しもう


【スティックサラダ みそマヨネーズ添え】

伴良美の季節の京野菜を楽しもう
甘く瑞々しい京かんざしを丸ごとがぶり。柔らかい葉も一緒に

①赤い根と先端の柔らかい葉を切って、グラスなどに盛り付ける
②マヨネーズ3、味噌1、みりん1の割合で混ぜたソースをつけていただく。
他にも、甘みのある酢味噌、オリーブオイルに塩と黒七味少々を混ぜたソースなど、好みのソースで楽しんでみましょう。

【クリームチーズと京かんざしのディップ バゲット添え】

伴良美の季節の京野菜を楽しもう!
クリーミィなディップ。京かんざしの食感と実山椒がアクセント

①京かんざしの根と葉を適宜にみじん切りに。軸は固いので軽く湯がいてみじん切りに。
②クリームチーズ35gに、①と丹波の実山椒の佃煮を少々混ぜ、牛乳少量を加えてなめらかに混ぜる。
③バゲットやクラッカーに➁を乗せていただく。

【京かんざしのかき揚げ天ぷら】

伴良美の季節の京野菜を楽しもう!
茎のほろ苦さと根の甘さがマッチ。さくっと揚げた香り高いかき揚げ

①葉や茎は5cm位のざく切りに。根はささがき、または細切りにする。
②てんぷら粉を水で薄めに溶き、①を加えて軽く混ぜ、短時間でサクッと揚げる。
③塩、または、黒七味少々を混ぜた塩でいただく。

てぐみ物語  ラベルに込められた想い

てぐみマスカット・ベーリーA
京かんざしの紅色に合わせて、てぐみのロゼを楽しんでみましょう。味わいはフレッシュで、マスカット・ベーリーA本来の自然な甘さと酵母が香るロゼのスパークリング。醸造家の内貴麻里さんを含む女性スタッフがデザインした、キャップシールやラベルも愛らしく、食卓での会話も弾みますね。ラベルの泡模様は発酵中のタンクで沸き上がる泡。そして、グラスに注いだ時の繊細な泡立ちを表現しています。

最初のヴィンテージはタンクから1本1本手作業で瓶詰めしていたため「てぐみ」という名前がつけられ、お茶を入れる際に汲み上げる茶道具とイメージを重ね、ラベルに柄杓を描いています。補糖や補酸を極力行わず、酸化防止剤も無添加。最終ろ過もあえて行わないことで、ぶどう本来のポテンシャルと自然な風味がそのまま活かされています。

生産者:農事組合法人 妙薬ファーム 城崎正継さん

城崎ご夫妻

城崎ご夫妻

京丹波町にて、奥さまと一緒に京野菜の栽培に励む城崎さん。「冬の京野菜は、大黒しめじ、聖護院かぶら、聖護院だいこん、えびいも、山のいもなど滋味深いものが多い一方で、やや彩りに欠けます。色彩豊かな野菜を冬の食卓に添えたいと、5年の歳月をかけて京かんざしを開発しました。ニンジンは土が命。このあでやかな紅色と細くてもしっかりと甘さが乗った味わいは、京丹波町瑞穂地区の特殊な土壌だからこそ生まれるもの。赤い根はジャムにもできるくらい糖度が高くエグミのない自然な甘さが自慢です。一回り大きく育てた、太さ1.5cm、長さ20cmの金時にんじんも出荷していますので、煮物に入れたり、きんぴらにしたり。葉はサラダやかき揚げにと、和食洋食いずれにも幅広くご活用くださいね」

 

伴良美
伴 良美(ばん・よしみ)
ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。


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