樹齢三十年 古木を味わう

1988年、ドイツからピノ・ノワールの苗木を輸入し、京都丹波で植樹。それから三十数年。日本での栽培は難しいといわれ続けたピノ・ノワールの古木だけを使ったヴィエイユ・ヴィーニュの誕生です。

丹波ワインは創業以来、ピノ・ノワールの栽培・醸造に注力してきました。その栽培は苦難の連続。果皮が薄く色が出ずに病害虫に弱いピノ・ノワール。栽培を諦めようと思ったことも何度も有りました。しかし、樹齢15年を越えたあたりから安定した品質を産出してくれるようになりました。
今がダメでも考えながら耐える。美味しいワインを造りたいという「想い」がようやく叶い始めたピノ・ノワール。味のバランスを第一に考え、テロワールを反映しやすい品種として京都らしさ、丹波らしさを大事に、栽培方法や醸造方法を試行錯誤してきました。
最近では日本の各ワイナリーがこの品種を使ったワイン造りにチャレンジし始めています。どのワイナリーもその土地のテロワールと呼ばれる風土を最も反映しやすい繊細な品種として魅力を感じているのだと思います。丹波ワインでは品種の個性を最大限に生かし、かつ素直にテロワールを感じてもらえるような京都でしか味わえないピノ・ノワールを作り続けます。

ピノ・ノワールを使ったワイン

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フランス語で「樹齢の高いブドウ樹」という意味のヴィエイユ・ヴィーニュ。「Vieille Vigne」や「V.V.」などとワインのラベルに表記されているこの言葉は、古樹のブドウから造られたワインであることを意味します。植樹してからその土地の気候風土になじみ、樹木が充実してくると、その実にも影響を与え始めます。京都丹波では15年目頃から品質が安定しはじめました。このようなブドウから造り出されるワインは、旨味溢れる滋味深い味わいになると言われています。

ヴィエイユ・ヴィーニュの魅力

ヴィエイユ・ヴィーニュのラベル表記に関しては、フランスでは大体30〜40年以上の樹齢のものを指します。しかし、実際その樹齢が古樹と呼ぶにふさわしいかどうかは生産者によって意見が異なり、特に明確な表記基準はありません。ブルゴーニュやシャンパーニュをはじめとするフランスの一流ワイン生産者の間では古樹に対して強いこだわりを持つところも多く、古樹のブドウから非常にクオリティの高いワインが生み出されています。

凝縮されたブドウから生み出される旨味溢れる味わい

通常ブドウの樹は、植樹してから約3年でワイン造りに使うことができる実を付け、寿命は約120年ほどと言われています。樹齢 を重ねるごとに結実が安定し、20年目当たりからは樹勢が落ち着きます。地中深くに張り巡らされた木の根から吸い上げられた地中の水分やミネラルなどの栄養分も十分に行き渡ることとなります。その結果、古樹には若樹に比べて複雑なミネラルや養分が蓄積された、凝縮したブドウが実ります。
また、根を地中深くに這わせるには地層の深さや種類、気象条件など様々な要素が揃うことが重要。こうした要素を満たした産地のヴィエイユ・ヴィーニュのブドウから造り出されるワインは、複雑味やミネラル感、凝縮感が備わった、旨味に溢れる滋味深い味わいとなるのです。

ピノ・ノワールとは?

フランスブルゴーニュ地方が原産といわれている品種。ドイツではシュペート・ブルグンダー、イタリアではピノ・ネロと各国や各地方によってシノムニ(呼び方が複数ある名前)が存在し、今やカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネについで世界各国で栽培されている赤ワインを代表する品種の1つと言われています。
ピノ・ノワールの最大の特徴は、なんといってもその品種の個性である繊細さとエレガントさ。繊細であるがゆえに、その土地の気候風土、テロワールを反映しやすく、日本に限らず世界各国のワイナリーが個性を出すためにチャレンジし続けています。産出されるワインのほとんどがブレンドではなく単一で醸造されるため、良くも悪くも猶更テロワールと作り手の個性がワインに反映しやすいといえます。小粒で房が松かさのようなのでピノ(フランス語で松を意味する)と呼ばれ、赤品種は黒色になるのでノワールと呼ばれています。

ピノ・ノワールのワインは?

赤ワインとしてはメルローネやカベルネ・ソーヴィニヨンほどタンニンと呼ばれる渋みと果実味、濃い色などは全面に出てきませんが、グラスをスワリングすると沸き立つ香と、奥ゆかしさが最大の魅力です。比較的穏やかな個性がブッフ・ブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮込み)や生ハム、ジビエなど色んな料理との相性を良くしています。またシャンパーニュではブラン・ド・ノワールという赤ワイン用品種で作るシャンパンなども醸造されています。

ピノ・ノワールのワインは?

そんなピノ・ノワール、日本では寒冷地である北海道で最近は栽培が非常に盛んです。温暖な西日本で栽培しているワイナリーは非常に少ないですが、京都丹波では三十年以上栽培し続けています。北海道のピノ・ノワールとは少し異なった温暖なエリアで育った酸味がまろやかで香り豊かになるのが特徴です。

京都丹波で栽培する

1980年代にドイツのガイゼンハイム研究所を通じて苗木を導入しました。当初はまだ丹波の風土に合った品種が定まっていなかったので、ショイレーベ、オスティナー、ルーレンダーなどの品種を栽培していました。中でもピノ・ブランやピノ・ノワールなどが丹波の気候風土でも育つことが分かってきたので、注力して栽培を始めました。
現在、京都丹波の自社農園では2カ所に合計60アールの植栽面積、約千本のピノ・ノワールを栽培しています。果皮が薄く、降雨による病気が蔓延しやすいため、スタッフが毎日農園を歩き回り、少しでも病気の兆しを見つけたらすぐに防除していきます。近年は様々な台木品種と接ぎ木を試験栽培し、更に品質の良いワイン作りを目指しています。
収穫時期は比較的早めで、九月上旬には全量を収穫します。樹齢も30年を超え2018年は古木だけを使ったピノ・ノワールを作りました。まだ固さ はあるものの、幅広のグラスに注ぐと濃厚なチェリーや下草を思わせる香と、まっすぐ芯の通った果実味とタンニンがバランスよく、これから熟成も 楽しみなワインです。
京都の老舗料亭やフレンチでも使っていただいているワインの一つで、コース料理の最初から最後までピノ・ノワールで楽しまれるお客様もあるとか。是非一度ご家庭でも料理とお楽しみください。

ピノ・ノワールを使ったワイン

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