顧客に愛される銘店
約3000店もの飲食店がひしめく大阪を代表する歓楽街北新地。この地で開業して26年。競争の激しい北新地にお店を構えて営業を続けるのは並大抵のことではないはず。
創作料理とワインとのマリアージュが気軽に楽しめると幅広い層のまさに老若男女に支持されている「旬彩 うち田」の魅力を探ろうと、料理人でソムリエでもある内田安明さんにお話しを伺いました。
旬彩 うち田 店主オーナー 内田 安昭 さん
今でも機会を作ってはワイナリーや酒蔵を訪問する事を欠かさない内田さん。「現場で従事している方の生の声を聞くのは、座学からは得られない貴重な体験です。本から得た知識と全然違う話があったり、とても勉強になります」。そこで得た情報はお客様へ伝わり、お酒を楽しむ際のつまみにもなります。お客様とのコミュニケーションもお酒と料理を楽しんでもらうために必要な事ですが、押しつけがましくなく自然で程よい距離感の接客が心地よいのも「うち田」ならではです。
「三人兄弟の真ん中で母親が働きに出ていたので、誰に言われるともなく自然と食事当番の係になっていました」と話す内田さん。料理の世界に入っていくのは自然の流れであったようです。寿司屋でのアルバイトから始まり、和食店やホテルなどで経験を積んだのち30歳で独立。北新地デビューを果たしました。
独立してからは和食をベースに洋のテイストを取り入れた和洋折衷の料理を提供していたと言います。現在も基本的にはそのスタイルですが、次第に洋の要素が大きくなってきているのだそうです。きっかけは女将。というのも開店当初、提供するお酒は和酒中心でしたが、サービスを担当している奥さんでもある女将は、これからは和酒だけでなくワインも和食と普通に楽しんでもらいたい、との思いからソムリエ資格を取得。当時ソムリエールがワインを提案してくれる和食店はまだ珍しく、ワインを楽しみに来店する新たなお客様が増えたそうです。
ワインは女将に任せ自身は料理に専念していたある日、女将不在の時に来店されたワイン好きのお客様に全く対応できなかった自身にショックを受けた内田さん。一念発起しソムリエ取得を決意。先輩ソムリエールである女将に弟子入りを志願。しかし興味があることを深堀りしたい生来の性格が災いし、女将をあれやこれやと質問攻めに。これにはさすがの女将も根をあげたそうで、それならと女将に頼み込んで一年間ワインスクールに通う事を許され、晴れて夫婦ソムリエコンビが誕生しました。
ソムリエ取得後もワインセミナーや勉強会などに積極的に参加。学べば学ぶほどワインにはまってしまった内田さん。こうして自身の料理とワインとの相性を考える上で洋の要素が大きくなってきました。
「ズワイガニとホタルイカ、うるいと菜の花、リコッタチーズのタルタル、イタリアンキャビア乗せチュイル添えトリュフのクリームソース」はもはやフレンチ。ズワイガニの上品な甘みにリコッタチーズのコクのある味わい、うるいの心地よい食感、キャビアとトリュフのクリームソースの存在感が調和した一皿です。思わず取材中で飲めない自分を呪いたくなるくらい。内田さんは「強すぎないピノ・ブランの果実味に優しい樽香が寄り添い、トリュフのクリームソースとよいハーモニーを奏でます。」と「京都丹波ピノ・ブランシュールリー」を薦めてくれました。
うち田にはワインリストがなく、お客様の好みや要望を聞いてプレゼンをし、選んでもらうスタイル。季節ごとに料理とワインとのマリアージュを楽しんでもらいたいから、旬の食材や調理法を考えてワインのラインナップも変えます。うち田にワインリストがない理由です。
将来はどんなお店にしていきたいですか?の質問に「今のままのスタイルを継続してお客様と楽しんでいきたいです」と大上段に構えることなく、肩肘の力の抜けた自然な答えに、今を大切にやれることを確実に実践していくという、飾り気のない人柄が感じられます。因みにうち田では女将がDIYで作ったというタイル地の落ち着いたカウンターと、女将が活けたセンス溢れる生け花も素敵です。こちらも是非楽しんで頂きたいです。
このお店が推薦する丹波ワイン
旬彩 うち田
カウンター6席 テーブル6席
【営業時間】
平日 17時より/日、祝日 15時より
【定 休 日】
不定休
【所 在 地】
大阪市北区曽根崎新地1-10-1 エスパシオンYAMADA801号
【電 話】
06-6348-1597
【ご 予 約】
可能(ランチ予約制)